シクロデキストリンとは?:基礎編
α、β、γ、それぞれの大量生産が可能に

シクロデキストリンの存在自体は、100年以上も前から知られていましたが、β−シクロデキストリンが工業生産されるまでには70年近い長い年数が経過し、αとγの工業生産が可能になるまでにはさらに約10年が必要とされたのでした。

シクロデキストリンの工業生産をはじめて実現したのは日本で、1976年のことでした。とはいっても、当時、大量生産されていたシクロデキストリンはβ−シクロデキストリンと、α、β、γ、3種のシクロデキストリンの混合物でした。理由は明快で、純粋なαやγのシクロデキストリンの生産は難しく、それだけにたいへん高価で、α-シクロデキストリンは1kg 5万円〜10万円、γ−シクロデキストリンにいたっては1kg当たり100万円以上もするほどでしたから、工業的な利用はほとんど不可能に近い状況にあったのです。

それが、約10年の年月を経て、画期的な変革がもたらされます。ドイツのワッカーケミー社によって、α、β、γ、それぞれのシクロデキストリンを選択的に、しかも経済的に製造する方法が発見されました。

2000年に、ワッカーケミー社の子会社であるワッカーケミカルコーポレーションが、原料であるトウモロコシのデンプンがもっとも安価な米国アイオワ州に、世界最大のシクロデキストリン生産工場を建設。食品や医薬品向けに、α、β、γ、3種それぞれの工場生産を開始しました。これにより、高純度なα−シクロデキストリンやγ−シクロデキストリンを従来の10〜100分の1以下の製造コストで生産することができるようになり、βシクロデキストリンとほぼ同様の価格での供給を実現させました。なお2006年春、シクロデキストリン工場として、世界で唯一のFDA(米国・食品医薬品局)の認可工場となっています。

α、β、γ、それぞれの大量生産が実現したことで、世界のシクロデキストリンの工業的な利用状況も大きく変わりました。さらなる応用開発の可能性にますます大きな期待が寄せられています。

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