還元型クルクミン|株式会社シクロケムバイオ
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還元型クルクミン

クルクミンは、皆さんもよくご存知のように、ウコンに含まれるポリフェノールの一種で、肝機能向上作用、美肌効果、コレステロール低減効果があるとしてサプリメントや飲料に配合されています。特に、飲酒前には悪酔いや二日酔いを予防する目的で、肝臓の解毒機能を高める作用と胆汁の分泌を促がす作用を期待して、『ウコンのちから』などの飲料を常用している方もいるかと思います。

では、テトラヒドロクルクミンについてご存知でしょうか?

テトラヒドロクルクミンとは、クルクミンが腸管の上皮細胞で還元されて生成する還元型クルクミンのことをいいます。クルクミンの一部は、テトラヒドロクルクミンに変換されて体内へ吸収されているのです。そして、クルクミンの持つ肝機能向上作用や美肌効果は、体内のテトラヒドロクルクミンの量が増すとさらに高まるのです。テトラヒドロクルクミンはクルクミンよりも強い抗酸化作用を持っており、チロシナーゼ(メラニン生成酵素)、コラゲナーゼ(コラーゲン分解酵素)、ヒアルロニダーゼ(ヒアルロン酸分解酵素)阻害作用による高い美容効果を有しています。

ところで、ウコンのドリンクやサプリメントを飲んだ際に便が黒っぽくなったことはありませんか?

テトラヒドロクルクミンは白色で、クルクミンは黄色です。吸収性を高めるための工夫が製剤に施されていない場合、変換されていないクルクミンの体内への吸収量は脂溶性のために極僅かなのです。黒っぽくなっているのはクルクミンの色が混ざっているからです。そのドリンクやサプリメントは、クルクミンがテトラヒドロクルクミンに変換され辛いこと、そして、クルクミンのまま排泄されてしまう吸収性の低い(効果の低い)製剤であることを意味しているのです。

ドイツワッカー社はクルクミンのγ-CD包接体と他の製剤を比較したクルクミンとテトラヒドロクルクミンの15人のボランテアによる吸収性評価を行ないました。尚、他の製剤(CP1とCP2)とはクルクミンの吸収性を18倍高めたとされる市販のクルクミン製品(Curcumin Comercial Product 1 and 2)です。また、クルクミンの投与量はいずれの製剤も376mgでテトラヒドロクルクミンは0mgであり含有されていません。

そして、驚くべき結果が明らかとなりました。

高吸収製剤のCP1に比べてγ-CD包接体の吸収性は9,84倍高く、スタンダード品に比べて22.39倍高く、CP2に比べて58.84倍高いことが判ったのです。

図1. 経口摂取後の血中クルクミンの濃度変化
図1. 経口摂取後の血中クルクミンの濃度変化

尚、CP1のデータではスタンダード品と比べて18倍高いことを謳っており、今回のデータと異なっていますが、CP1のデータは油脂を含む食事をした後に経口摂取したデータであり、今回のデータは公平な評価をするために、脂溶性物質の吸収が低くなる絶食後に経口摂取したデータです。

還元型の健康増進効果のあるテトラヒドロクルクミンの血中濃度も、当然、γ-CD包接体を摂取した場合に他の製剤に比べて有意に高い結果が得られています。

図2. 経口摂取後の血中テトラヒドロクルクミンの濃度変化
図2. 経口摂取後の血中テトラヒドロクルクミンの濃度変化