骨の健康について(3)骨量減少を抑制する脂肪酸をローヤルゼリーから発見|株式会社シクロケムバイオ
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骨の健康について(3)骨量減少を抑制する脂肪酸をローヤルゼリーから発見

2020年7月20日、東京医科歯科大学から『骨量減少を抑制する脂肪酸をローヤルゼリーから発見 骨粗鬆症に対する新たな治療法や食品による骨健康の増進に期待』とのタイトルで研究成果のプレスリリースがありました。そこで、今回は(3)として、その内容を簡単に紹介し、ローヤルゼリーを摂取した際に、その脂肪酸である10-ヒドロキシ-2-デセン酸(10-HDA)を有効に働かせるために、αオリゴ糖で安定化させ吸収性を高めたローヤルゼリーαオリゴ糖包接体についてこれまでの研究成果を紹介します。

では、まず、東京医科歯科大学が2020年7月9日に発表した学術誌『Journal of Biological Chemistry(オンライン版)』の研究成果の内容です。

骨は常に生まれ変わっていて、古い骨を破骨細胞が破壊して、骨芽細胞が新しい骨を作って恒常性を保っています。しかし、このバランスが崩れて破骨細胞が優位に立つと骨粗鬆症のような骨疾患を患うこととなります。

この研究では閉経後骨粗鬆症のモデル動物として卵巣摘出マウスを使用しています。卵巣摘出マウスはエストロゲンの欠乏で骨量が減少し骨粗鬆症を発症しますが、ローヤルゼリーを経口投与した卵巣摘出マウスでは、この骨量減少が有意に抑制されることが見出されています。

図1. ローヤルゼリーによる骨量減少の改善
図1. ローヤルゼリーによる骨量減少の改善

そこで、細胞レベルでの検討によってローヤルゼリーが破骨細胞の分化を抑制することを明らかとしています。

図2. ローヤルゼリーによる破骨細胞の分化抑制
図2. ローヤルゼリーによる破骨細胞の分化抑制

そこで、ローヤルゼリー構成成分の中で破骨細胞に対して抑制的に働く機能性成分を調べ、脂肪酸である10-HDAが破骨細胞分化と骨破壊の抑制に有効な成分であることが分かりました。そして、10-HDAを卵巣摘出マウスに服用させたところ、ローヤルゼリーの服用と同様に破骨細胞の分化を抑制することが生体レベルで認められています。

図3. 破骨細胞による骨破壊マーカーの変化
図3. 破骨細胞による骨破壊マーカーの変化

このように、ローヤルゼリーに含まれる脂肪酸の10-HDAが破骨細胞分化を抑制して、骨破壊を抑えることを明らかとしています。

10-HDAの機能性はこれまでにも様々な報告があります。①抗腫瘍活性を検証(熊本県立大学・奥田拓道)②抗糖尿病効果、カテコールアミンの脂肪分解を抑制するというインスリン様作用(亀田豊幸)、③血圧降下作用、アンジオテンシン転換酵素阻害活性、④皮脂質分泌調節作用(ポーラ横浜研)、⑤真皮層のコラーゲン産生(林原生物化学研究所)、⑥腫瘍や白血病に対する成長阻害作用(小林彰夫ら)

しかしながら、10-HDAはプロポリスに含まれるアルテピリンCやコーヒー酸フェネチル(CAPE)などと同様にα、β不飽和カルボニル化合物で安定性が低く、生体利用率に問題のある物質です。ローヤルゼリーを凍結乾燥、錠剤化、カプセル化すると、加工の過程において、10-HDAの生理活性効果は減衰する恐れがあります。

図4. 10-HDAは不安定なα、β-不飽和カルボニル化合物
図4. 10-HDAは不安定なα、β-不飽和カルボニル化合物

そこで、ローヤルゼリー、及び、そのαオリゴ糖包接体を37℃の恒温槽に入れ、光を遮断し、初日、20日、40日、60日放置後の10-ヒドロキシデセン酸の含有量変化をGLCで分析したところ、αオリゴ糖で包接化することでローヤルゼリー中の10-HDAを完全に安定化できることが確認されています。(財団法人日本食品分析センター、全国ローヤルゼリー公正取引協議会検査実施要領準拠)

図5. 10-HDAのαオリゴ糖包接による完全安定化
図5. 10-HDAのαオリゴ糖包接による完全安定化

また、当社の研究によって、αオリゴ糖を摂取するとカルシウムの吸収量が増加し、骨強度が向上することが明かとなっています。
研究成果:第93回 α-シクロデキストリン摂取によるカルシウムの吸収量の増加と骨強度の向上

よって、健康食品やサプリメントを製造する会社に10-HDAを含有するローヤルゼリーのαオリゴ糖包接体が骨の健康のためには大変有用な機能性素材であることを理解してもらえることと思っています。