αオリゴ糖による美肌作用|株式会社シクロケムバイオ
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αオリゴ糖による美肌作用

今年はαオリゴ糖による腸内のバクテロイデス菌の増殖、それに伴う、短鎖脂肪酸の酢酸とプロピオン酸の産生作用による持久運動能力の向上が話題となっています。しかしながら、バクテロイデス菌の増殖は持久力の向上だけではなく、認知症、動脈硬化、糖尿病、そして、がんの予防効果が次々と報告されています。さらに、美容効果のあることも分かってきました。

αオリゴ糖によるバクテロイデス菌増殖 そのベネフィット
αオリゴ糖によるバクテロイデス菌増殖 そのベネフィット

ビタミンB群は代謝ビタミンとも呼ばれ体内においてエネルギー産生に関わる水溶性のビタミンですが、食品に含まれているだけではなく、腸内のバクテロイデス菌によって短鎖脂肪酸とともに作られています。したがって、腸内のバクテロイデス菌が減るとビタミンB群の産生量も減少します。

たとえば、ビタミンB7のビオチンはエネルギー産生に関わり、皮膚、粘膜、爪、髪の毛の健康を保ち、皮膚炎を治し、肌にハリやツヤを与える役割がありますが、バクテロイデス菌が減ることで、ビオチンの産生量は低下し、肌荒れや髪のツヤ、抜け毛にも影響します。

『一生モノの美肌になる!最高の食べ方図鑑』(宝島社 2019)P60
『一生モノの美肌になる!最高の食べ方図鑑』(宝島社 2019)P60

したがって、αオリゴ糖でバクテロイデス菌を増やすことは美容にも有効なのです。表にゲノム解析や培養試験による解析による各種ビタミン産生にかかわるヒト腸内細菌についてまとめています。8種のビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、ビオチン、葉酸、ビタミンB12)と脂溶性ビタミンであるビタミンKがバクテロイデス菌により産生されていることが分かります。

表. 各種ビタミン産生にかかわるヒト腸内細菌
化合物名 ビタミン名 生合成にかかわると推定される主なヒト腸内細菌
チアミン B1 Firmicutes門を除く細菌、特にBacteroidetes門とFusobacteria門
リボフラビン B2 Bacteroidetes門、Fusobacteria門、Proteobacteria門、
Firmicutes門の一部、Bifidobacterium longum
ナイアシン B3 大半の腸内細菌、しかし、Firmicutes門とActinobacteria門の細菌は
他より合成能を持つ細菌が少ない
パントテン酸 B5 Bacteroidetes門、Proteobacteria門
ピリドキシン B6 大部分のActinobacteria門、Bacteroidetes門およびProteobacteria門
ビオチン B7 Bacteroidetes門、Fusobacteria門、大部分のProteobacteria門
葉酸 B9 Bacteroidetes門、Fusobacteria門、Proteobacteria門、
Bifidobacterium属、Streptococcus属、Lactococcus spp.
コバラミン B12 Fusobacteria門、Bacteroidetes門の一部、Clostridia綱、
Lactobacillus reuteri*
メナキノン K Bacteroidetes fragilis*、B. ovatus*、B. vulgatus*、B. thetaiotaomiciron* など