腸内環境を改善して健康を維持するためのα-シクロデキストリン|株式会社シクロケムバイオ
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腸内環境を改善して健康を維持するためのα-シクロデキストリン

腸内には、外敵から身を守るため、免疫細胞の約70%が集中した免疫システムが存在しています。気管支喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症、鼻炎などのアレルギー疾患は、免疫システムの異常から発症しますので、発症したら、或いは、発症を予防するためには、腸内環境を改善して、腸を健康に保ち、免疫システムを正常化する必要があるのです。

最近の研究で、環状オリゴ糖であるα-シクロデキストリン(α-CD(シー・ディー)といいます)が、プレバイオティックとして善玉菌を増やし、IgE抗体を低下させ、アレルギー疾患を効率よく抑制することが分かってきました。
研究成果:第50回 α-シクロデキストリンの抗アレルギー作用

α-CDは、水溶性難消化性デキストリンですので、水溶性食物繊維に分類されます。ただ、他の水溶性食物繊維と大きく異なるのは、ブドウ糖が6個結合した単一の環状物質である点です。ブドウ糖が8個結合したγ-シクロデキストリン(γ-CD)は、デンプンと同様に小腸(十二指腸)内の消化酵素で分解しますが、α-CDは、ブドウ糖が6個であるために、分解されません。単に消化酵素で分解されない点では、他の難消化性である食物繊維と何ら変わらないのですが、α-CDは大腸内において善玉菌によって“ゆっくり”と分解されて、乳酸、酪酸、ブタン酸、プロピオン酸などの短鎖脂肪酸に変換されるのです(厳密には、発酵といいます)。この“ゆっくり”とした超スロー分解速度が他の食物繊維とは異なるのです。

下図は、α-CDをラットに投与してラット体内から発生する二酸化炭素量をみたものですが、腸内に細菌を持たない無菌ラットの場合、消化酵素で分解されないα-CDの細菌による発酵はないので、二酸化炭素は発生しないのですが、通常の腸内細菌を持つラットからは2時間後から24時間かけて“ゆっくり”と二酸化炭素が発生しているのが分かります。

α-CDをラットに経口投与後の二酸化炭素排出量の推移
α-CDをラットに経口投与後の二酸化炭素排出量の推移

なぜ、“ゆっくり”と分解(発酵)するのでしょうか?

その理由は、環状オリゴ糖であるα-CDには、糖鎖の末端“はし”がないからです。善玉菌は、エサである糖質の“はし”から食べていきたいのですが、その“はし”がないためにどこから食べていいか、迷うようです。よって、“ゆっくり”としか分解されないのです。

では、“ゆっくり”と分解されることで、何が腸内環境に良いのでしょうか?

α-CDが大腸内で分解されると短鎖脂肪酸に変わります。“ゆっくり”と脂肪酸が出て(短鎖脂肪酸のスロー・リリースといいます)、腸内が長時間にわたって酸性になるのです。善玉菌は酸性条件を好み、悪玉菌は嫌います。よって、善玉菌支配が完成するのです。また、悪玉菌が作り出すアンモニアなどの有害物質は、脂肪酸によって塩に変えて(化学的には中和反応といいます)、体内に吸収されることなく排泄されることとなります。

この短鎖脂肪酸のスロー・リリースで腸内環境が改善されると、アレルギー疾患の治癒効果だけでなく、最近、高アンモニア血症や肝性脳症の治癒効果もあることが分かってきました。

一般に、血中のアンモニアの多くは、腸内で発生したアンモニアに由来します。経口摂取されたタンパク質が、腸内細菌によって代謝されることで、アンモニアは発生するのです。通常、腸管内で発生したアンモニアは、腸管壁から門脈血中に吸収され、肝臓に運ばれ、尿素サイクルで尿素に解毒されます。しかしながら、肝臓の働きが低下していると、アンモニアを解毒できず、血中アンモニアが増加して、高アンモニア血症は発症します。そして、高アンモニア血症に陥ると、アンモニアによる脳障害(肝性脳症)、たとえば、意識障害、運動障害、言語障害等が引き起こされ、重度の場合は昏睡に至るのです。

門脈下静脈吻合(porto- caval shunt)し、実験的に肝性脳症を起こしたPCSラットを用いて、α-CD摂取による血中アンモニア量の低下に関しての検討がされています。下表のように、コントロール群で測定される頚静脈血漿中のアンモニア濃度は時間の経過とともに上昇していますが、α-CD水溶液投与群では、測定される頚静脈血漿中のアンモニア濃度は時間の経過による変化がほとんどありませんでした。

表1. PCSラットにおけるα-CDの血中アンモニア低下作用
(WO2009-123029A1(大塚製薬工場)より)
表1. PCSラットにおけるα-CDの血中アンモニア低下作用(WO2009-123029A1(大塚製薬工場)より)

この結果によって、α-CDには高アンモニア血症の治癒効果のあることが示唆されています。腸管内でα-CDが“ゆっくり”と善玉菌によって短鎖脂肪酸に変化し、腸内アンモニア量が減少したことによると考えられます。