パーソナル化サプリメントのトッピング機能性成分(3)運動器の健康のために|株式会社シクロケムバイオ
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2022.7.28 掲載

パーソナル化サプリメントのトッピング機能性成分(3)運動器の健康のために

このシリーズではパーソナル化サプリメント(PS)において各個人の目的のためのトッピング機能性成分の科学的根拠を説明していきます。今回は“運動器の健康のために”必要なトッピング機能性成分についてです。

運動器の健康はトップアスリートの靭帯や筋腱の損傷から高齢者が要介護までのリスク回避のために大変重要です。たとえば、要介護状態への大きなリスクである変形性膝関節症患者は日本において2530万人(男性860万人、女性1670万人)います。

運動器とは、身体を支えて身体運動を行うための器官で、骨格と関節、そして、それらを結合する骨格筋、腱、および、靭帯が属します。その運動器のためのトッピング機能性成分には、コラーゲン、エラスチン、プロテオグリカン、グルコサミン、ポリアミン、ピロロピロリンキノン(PQQ)、クルクミン、アスタキサンチン、ヒハツ由来ピペリン、ブラックジンジャーがあり、それぞれ、靭帯・筋腱損傷の予防や関節痛の痛み改善を目的としていて、『関節の動きをサポート』とか、『歩行能力の維持』といった機能性表示ができる成分も含まれています。(尚、筋肉増強については別項目にて紹介します。)

図1. 運動器の健康のためのPSのトッピング成分
図1. 運動器の健康のためのPSのトッピング成分

まずは、靭帯・筋腱の損傷を予防するためのPSのトッピング成分であるコラーゲン、エラスチン、プロテオグリカン、グルコサミンについて説明します。

私たちの体は60兆個の細胞で成り立っていますが、その細胞同士、細胞集団同士の隙間を埋める物質を必要としていて、それらの物質は細胞外マトリックス(ECM)と呼ばれて細胞間の接着や引張り、圧縮などに対する強度を持っています。ECMの種類は極めて多様性に富んでいるのですが、コラーゲン、エラスチン、プロテオグリカンという繊維状タンパク質と糖たんぱく質が主となっています。

靭帯・筋腱の損傷を予防する目的でECMを外から補うためにはコラーゲンペプチドとグルコサミンの摂取が一般的です。しかし、最近では、コラーゲンペプチドとグルコサミンに加えて、エラスチンやプロテオグリカンも同時に摂取することで、それらの効果がさらに高まることが判ってきています。

しかし、コラーゲンとエラスチンは高分子の繊維状タンパク質であるために、ペプチド化(加水分解)させたものであっても体内への吸収性が低いという問題があります。そこで、PSにはキウイフルーツに含まれるタンパク分解酵素をα-オリゴ糖で安定化したパウダー(キウイαオリゴパウダー、KAP)を配合していますので、コラーゲンペプチドとエラスチンをさらに低分子化し体内への吸収効率を高めることができます。

コラーゲンペプチドとエラスチンペプチドのKAPによる低分子化が電気泳動法によって明らかとなっていますが、ここでは、エラスチンペプチドのみ検討結果を示しておきますがプロテインやコラーゲンも同様に低分子化できることが明らかとなっています。

図2. KAPによるエラスチンペプチドの低分子化
図2. KAPによるエラスチンペプチドの低分子化

次に、関節炎、関節リウマチなどの膝や肘の関節の痛みを抑える抗炎症効果を期待したい場合には、ポリアミン、PQQ、クルクミンのトッピング成分がお勧めです。

ポリアミンの関節炎に対する抑制効果はシクロケムの栄養素バンクをご確認ください。関節炎は加齢をはじめ、過度な運動、関節リウマチ、肥満などが原因で起こる関節の炎症で腫れや痛みが生じますが、ポリアミンのスペルミジンは炎症を抑制する効果を持つことが報告されています。
栄養素バンク:ポリアミン

PQQはヒト試験(10人の被験者、男女5人ずつ)において1日に20mg 3週間摂取することで、炎症マーカーであるC反応性蛋白と炎症性サイトカインIL6が顕著に低下し、炎症を抑えることが示されています。その作用機序には、細胞のシグナル伝達経路やミトコンドリア機能との相互作用が関与しています。
Dietary pyrroloquinoline quinone (PQQ) alters indicators of inflammation and mitochondrial-related metabolism in human subjects

クルクミンは関節リウマチに有効であることが報告されています。関節リウマチは手足の関節に炎症や痛みが生じ、進行すると関節が変形してしまう病気です。関節リウマチ患者45名のヒト試験によって関節リウマチの改善効果の試験を行ったところ、治療薬のジクロフェナクNaよりもクルクミンの方が痛みを消去する効果のあることが判明しています。尚、クルクミンは脂溶性で生体利用能の低い物質ですので吸収性を高めたγ-オリゴ糖包接体を摂取することがお勧めです。
痛風と関節リウマチとクルクミンとプロポリス

機能性表示食品の機能性関与成分の届け出において、クルクミンやグルコサミンは『関節の動きをサポート』で受理されておりますが、アスタキサンチンとヒハツ由来ピペリンも同様に受理されております。また、ブラックジンジャーの有効成分であるポリメトキシフラボンは『関節の動きのサポート』とともに『歩行能力の維持』でも受理されております。