小型LDLコレステロールについて(4)小型LDLと糖尿病やメタボの関係|株式会社シクロケムバイオ
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掲載日:2019.10.8

小型LDLコレステロールについて(4)小型LDLと糖尿病やメタボの関係

このシリーズでは、小型LDLコレステロールとは、いったいどのようなものか、そのリスクマーカーとしての鋭敏さはこれまでの研究からどこまで分かっているのか、小型LDLコレステロールが多いとどれほど危険なのか、小型LDLコレステロールが多いために冠動脈疾患(CHD)を患った際の医薬品による対処法にはどのようなものがあるか、そして、小型LDLコレステロールが多いことが健康診断で判明した際の未病患者に対する機能性食品による対処方法にはどのようなものがあるかなどについて、医師や薬剤師等の専門家に向けてではなく一般の方々に分かりやすく概説しています。(1)では小型LDLコレステロールとはどのようなものかについて説明しました。(2)では小型LDLコレステロールはどのようにして作られているかについて説明しました。(3)では真の悪玉コレステロールはLDLではなく、小型LDLコレステロールであることを示すため、小型LDLコレステロールのCHD発症に及ぼす影響を説明しました。今回は、小型LDLコレステロールはCHDのリスクマーカーだけではなく、糖尿病のリスクマーカーでもあることを示す論文、そして、小型LDLコレステロールとメタボリックシンドロームの関係を示す論文について紹介します。

平野教授の研究グループの報告(Hirano T, et al: Arterioscler Thromb Vasc Biol 24; 558-563, 2004)によると小型LDLコレステロールはCHDだけではなく糖尿病のリスクマーカーであることが分ります。LDLコレステロールを健常者と糖尿病患者を比較すると、少しだけ糖尿病患者の方が高いのですが、小型LDLコレステロールは大きく異なり、糖尿病患者は非常に高いことが判ります。その一方で、糖尿病患者の大型LDLコレステロールは減少しています。この結果からLDLコレステロールが糖尿病のリスク因子となっている理由として小型LDLコレステロールによるものであることは明白です。

図1. 2型糖尿病患者(T2DM)の小型LDLレベル
図1. 2型糖尿病患者(T2DM)の小型LDLレベル

小型LDLコレステロールが冠動脈疾患(CHD)や糖尿病(MD)のリスク因子となっている研究報告と同様に、小型LDLコレステロールはメタボリックシンドロームとも関係することが、大阪大学と東京医科歯科大学との共同研究(Okazaki M, et al: Arterioscler Thromb Vasc Biol 2005; 25:578-584)で明らかとされています。内臓脂肪面積が100cm2以上をメタボリックシンドロームと呼んでいますが、内臓脂肪面積をCTで撮影し、LDLコレステロールとの関係を、肥満日本人男性62名(22~67歳、BMI 26.8±4.6)で調査しています。LDLコレステロールとメタボリックシンドロームとの関係に相関はないのですが、LDLコレストロール粒子の大きさを比較したところ、内臓脂肪面積が増加すると、大型LDLコレステロール(25.5~28.6nm)は減少し、小型LDLコレステロール(23.0~25.5nm)と超小型LDLコレステロール(16.7~23.0nm)は増加していることが判りました。

図2. メタボリックシンドロームとLDLの大きさの関係
図2. メタボリックシンドロームとLDLの大きさの関係

LDLコレステロールを大型LDLコレステロール(25.5nm >)と小型LDLコレステロール(25.5nm ≦)で分けると、大型LDLコレステロールの場合はメタボリック症候群と健常人に差はないのですが、メタボリック症候群の方の小型LDLコレステロールの濃度は大きく増加していることが判ります。(平野らの未報告データ)

図3. メタボリックシンドロームと健常人の小型LDL
図3. メタボリックシンドロームと健常人の小型LDL

また、小型LDLコレステロールとアディポネクチンとは負の相関があり、インスリン抵抗性指数と正の相関があることも示されています。このように、メタボリックシンドロームとLDLコレステロールに相関はないのですが、小型LDLコレステロールと強い相関がありますので、平野教授は小型LDLのことをメタボリックLDLと呼んでいます。

図4. 小型LDLとアディポネクチンおよびインスリン抵抗性の関係
図4. 小型LDLとアディポネクチンおよびインスリン抵抗性の関係