頭が良くなるニュージーランド産プロポリス(抗がん作用だけではない)|株式会社シクロケムバイオ
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今、注目していること

頭が良くなるニュージーランド産プロポリス(抗がん作用だけではない)

この度、当社は産業技術総合研究所(AIST)との共同研究でニュージーランド(NZ)産プロポリス成分のCAPEに神経細胞分化誘導作用のあること、そして、γオリゴ糖で包接するとその作用が高まることを見出し、『Identification of Caffeic Acid Phenethyl Ester(CAPE)as A Potent Neuro-Differentiating Natural Compound that Improves Cognitive and Physiological Functions in Animal Models of Neurodegenerative Diseases (神経変性疾患の動物モデルにおける認知および生理学的機能を改善する強力な神経分化誘導天然物質としてのコーヒー酸フェネチルエステル(CAPE)の同定)』というタイトルでFrontiers in Aging Neuroscienceに投稿していたのですが、その投稿論文がアクセプトされました。

NZ産プロポリスCAPE30+のγオリゴ糖包接体を摂取すると児童の学習能力の向上、スポーツパフォーマンスの向上、そして、高齢者の認知機能の向上が期待できます。分かりやすく言うと、NZ産プロポリスを摂取すると頭が良くなることが分かったという論文です。ここでは、その内容を簡潔に紹介します。

まず、その前に神経細胞について説明しておきます。

ヒトの脳は数百億個の神経細胞とその10倍ものグリア細胞から成り立っています。自分の行動・思考・感情・認知・信念を司って自己を形成しているのはこの神経細胞であり、グリア細胞が毛細血管と繋がっていて神経細胞に栄養や酸素を運んでいます。

神経細胞の構造を(図1)に示しますが、新しいことを学習すると、脳は神経細胞からシナプスがどんどん枝分かれして別の神経細胞につながり、新しい回路を作ります。脳を使えば使うほど神経細胞が増え、シナプスはどんどん神経細胞同士をつなげ、記憶力も高まっていきます。反対に、脳を使わなければ、使われない回路のシナプスは消えていくのです。

脳や脊髄など中枢神経は(図1)のような神経細胞の細胞体から出る電線のような軸索で電気信号を伝えて暑さや寒さなどの感覚や身体を動かす指令を送っています。電線がショート防止目的で絶縁体のビニールのカバーで覆っているように、神経細胞も髄鞘(ずいしょう:ミエリン)で覆われています。指定難病である多発性硬化症は中枢神経系の病気で、炎症によってミエリンが壊れて、電線がむき出しになって、信号が伝わりにくくなると、認知症のみならず、視力障害、運動障害、感覚障害などさまざまな症状が出てくる神経細胞による大変な疾患なのです。

図1. 神経細胞の構造(イメージ図)
図1. 神経細胞の構造(イメージ図)

このようなことからも機能性栄養素で新規な神経細胞を作ること、つまり、神経細胞の分化誘導作用を持つ機能性栄養素の探索研究は非常に魅力ある研究分野と言えます。

では、この論文の内容です。

まず、57種類もの天然物質についてヒト神経芽細胞(IMR32)を用いてその神経分化誘導活性を調べています。57の物質の中で樹状突起の形成がみられた11物質について2回目のスクリーニングを行っています。その内、強い分化誘導を示す4物質に絞り、4回目のスクリーニングを行い、最終的に、IMR32細胞の分化誘導に最も高い効果を示す物質がコーヒー酸フェネチルエステル(CAPE)であることを確認しています。そこで、更に詳しくCAPEの効果を調べるため、既に神経細胞分化誘導作用のあることで知られているレチノイック酸(RA)をポジティブコントロール(陽性対照)として使用し、未処理(NT、ブランク)とDMSO希釈処理の細胞分化と比較しています。その結果、ポジティブコントロールのRAの濃度が7.5μM とCAPEはわずかその3分の1の濃度である2.5μMで神経細胞分化誘導作用は同等であることが示されたのでした。

図2. CAPEの神経細胞分化誘導作用
図2. CAPEの神経細胞分化誘導作用

ヒト神経芽細胞(IMR32)を用いてCAPEに神経細胞分化誘導作用のあることが示されたので、次に、認知症改善効果の検証についてショウジョウバエを用いて行っています。その結果、CAPEを添加した培地で飼育されたハエにアルツハイマー病の改善効果が示されています。繁殖力においてもアルツハイマー病のハエの産卵数は大幅に増加することが分かっています。また、ストレス反応による生存率においては、ワイルドタイプとアルツハイマー病のどちらのハエもCAPE処理によって耐性の増加に伴って生存率は上昇することが示されました。このようにアルツハイマー病モデルのショウジョウバエを用いた検討によってCAPEに認知機能と生理学的機能の改善効果のあることが明らかとなっています。

図3. CAPEによるアルツハイマー病モデルショウジョウバエの症状改善効果
図3. CAPEによるアルツハイマー病モデルショウジョウバエの症状改善効果

次に、マウスによるノーベルオブジェクト探索試験を行っています。この試験は認識メモリのための高度に検証されたテストです。

マウスに2つの四角■のオブジェクトにさらし、慣れ親しむトレーニング期間を与えます。その後、2つの四角■の内、1つの■を別の新奇なオブジェクトの丸●に置き換えます。記憶が正常に機能している場合、マウスは新奇な丸●のオブジェクトを探索する方が、なじみのある■のオブジェクトを探索するよりも多くの時間を費やします。そこで、両方のオブジェクトの探索時間が同じであると記憶不足と判断されます。

図4. ノーベルオブジェクト探索試験
図4. ノーベルオブジェクト探索試験

この試験ではマウスを、①生理食塩水(コントロール)群、②DMSO(コントロール)群、③スポコラミン投与群、④スポコラミン+CAPE投与群、⑤スポコラミン+CAPE-γオリゴ糖包接体投与群の5群に分けています。尚、スポコラミンの投与は神経変性疾患を発症する薬物です。また、CAPE-γオリゴ糖包接体を検討に使用した理由は、CAPEのγオリゴ糖包接によって安定性を高め、生体利用能を高めてCAPEの効果を向上させることが知られているためです。

では、結果です。スポコラミンを投与することで記憶機能の顕著な低下が認められましたが、スポコラミンを投与しても、同時にCAPEを投与することで記憶機能はコントロールと同じまで回復しています。ここで、大変興味深いことに、CAPEの生体吸収性を改善したCAPE-γオリゴ糖包接体を投与すると、コントロールよりも記憶機能は向上することが明らかとなっています。

図5. 新奇なオブジェクトへのマウスの移動状況
図5. 新奇なオブジェクトへのマウスの移動状況
図6. CAPE-γオリゴ糖包接体の記憶機能向上効果
図6. CAPE-γオリゴ糖包接体の記憶機能向上効果
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