機能性表示食品素材α-シクロデキストリン(αオリゴ糖)
α-シクロデキストリンは、トウモロコシ由来のデンプンから酵素の働きによって作られる環状オリゴ糖です。6つのグルコースが環状に連なってできており、環状オリゴ糖、αオリゴ糖やα-CD(アルファシーディー)と呼ばれています。内径が0.5nmと非常に小さく、二酸化炭素のような非常に小さな分子も包接・徐放によるコントロールが可能です。
この分子カプセルのような振る舞いが、無限の可能性を秘めています。
血糖値上昇抑制効果
αオリゴ糖は、糖質として初めて機能性表示食品の機能性関与成分として採用されました。1回5g以上の摂取で食後の血糖値上昇抑制効果を示したシステマティックレビュー(SR)をご提供し、機能性表示食品届出のサポートを行っています。
下記の試験では、パンやご飯など糖質を含んだ食事、または砂糖を摂取した場合における、αオリゴ糖の血糖値上昇抑制効果が示されました。
①白米を食べた後の血糖値
健康な男女10名に対してαオリゴ糖、0、2、5、10gをそれぞれ添加した消化性炭水化物50g含有白米を摂取させた際の血漿グルコース濃度の変化。double-blind randomised cross-over法に基づいておこないました。αオリゴ糖の摂取量増大にともなって、血糖値の上昇(iAUCと対応関係)が抑制される傾向が見られました。
②砂糖を食べた後の血糖値
マウスに対して、各量のαオリゴ糖を経口投与した後、20分後に砂糖を2g/kg(体重)経口投与し、その後の血糖値を測定しました。その結果、αオリゴ糖は食後の血糖値上昇を抑制させました。
LDL-コレステロール低減効果
αオリゴ糖は、悪玉コレステロールとも呼ばれるLDL-コレステロールを下げる効果を持ち、体重の維持や減少にも役立ちます。
血中LDL-コレステロール値が境界域から軽症域を含む健常な男女28人において、αオリゴ糖を1ヶ月摂取(2g/食、6g/日)した際、プラセボ群と比べ、体重、血中LDL-コレステロール値、総コレステロール値が有意に低下しました。
*p < 0.05, +p=0.06 vs プラセボ群
真の悪玉コレステロール“小型LDL”低減効果
LDLコレステロールは、大型LDLと小型LDLに分類されます。近年の研究では、小型LDLは、大型LDLよりも血管壁から侵入しやすく動脈硬化を引き起こしやすい性質を持っていることから、“小型”LDLは真の悪玉コレステロールともよばれています。
αオリゴ糖を1日6g(毎食2g)摂取することで小型LDLを低減することが知られており、2023年、αオリゴ糖(成分名:α-シクロデキストリン)を機能性関与成分とした小型LDL関連の機能性表示食品届出が受理されました。
αオリゴ糖摂取後の小型LDLの変化
脂質とリポタンパク質 | プラセボ | αオリゴ糖 | p |
---|---|---|---|
コレステロール(<200mg/dL) | 180±4 | 180±4 | 0.82 |
中性脂肪(<150mg/dL) | 97±6 | 100±6 | 0.92 |
LDL(<1000nmol/L) | 1038±47 | 1005±45 | 0.16 |
小型LDL(<1317nmol/L) | 405±38 | 365±35 | 0.04 |
HDL(<24-49μmol/L) | 35±1 | 35±1 | 0.90 |
脂質および糖質パラメーターが正常域な健常人(N=75)を対象にした二重盲検クロスオーバー試験では、αオリゴ糖を12~14週間摂取(毎食2g、6g/日)した群は、プラセボ群と比べ、小型LDL粒子数が有意に低下しました。
参考:Marcelo J. A. Amar et al, Lipids in Health and Disease, 15(1), (2016)
“小型LDL”関連の機能性で初!αオリゴ糖(成分名:α-シクロデキストリン)を機能性関与成分としたサプリメントの機能性表示食品届け出が受理されました。
中性脂肪吸収阻害効果
αオリゴ糖は、脂質を含んだ食事と共に摂取することで、食事由来の中性脂肪の吸収を阻害し、食後の血中中性脂肪の上昇を抑制します。
血中中性脂肪が正常高値域からやや高めの者を含む18歳以上の健常な男女34人において、脂質を含む食事とともにαオリゴ糖もしくはセルロース(対照)を2g摂取し、食後の血中中性脂肪値を測定しました。その結果、脂質を含む食事とともに2gのαオリゴ糖を摂取した群は、食後の血中中性脂肪上昇が抑制されました。
*p < 0.05 (αオリゴ糖摂取群 vs 対照群)
さらに、1gのαオリゴ糖で9gの食事由来の中性脂肪を排泄することや、長鎖の飽和脂肪酸(摂りすぎると体に悪いとされる脂質)をより効果的に排泄する可能性がラットや試験管の試験で示されています。
1gのαオリゴ糖で中性脂肪9g分の吸収抑制
ラットを高脂肪食群と高脂肪食+αオリゴ糖群、さらに低脂肪食群に分けて、それぞれ6週間摂取させた後に体脂肪を測定したところ、高脂肪食群と比較して高脂肪食+αオリゴ糖摂取群において体脂肪低減効果が確認され、その傾向は低脂肪食群と同等でした。その結果から αオリゴ糖と食事の脂肪量を計算したところ、αオリゴ糖の効果としてαオリゴ糖 1gに対し、脂質 9gに相当することが示唆されました。
ap < 0.05 vs 高脂肪食群
飽和脂肪酸の選択的排泄
飽和脂肪酸の中性脂肪(トリパルミチン)と不飽和脂肪酸の中性脂肪(トレオレイン)を等量加えた食餌をラットに摂取させた群(無添加)と、そこに食物繊維(キトサンまたはαオリゴ糖)を加えて摂取させた群、さらにαオリゴ糖を積極的に包接させた群、それぞれを1週間飼育した後に排泄物中の飽和と不飽和の比率を測定しました。その結果、αオリゴ糖は飽和脂肪酸を選択的に排泄し、その傾向は包接させることによって高まることが判明しました。
ap < 0.05 vs 無添加
善玉菌の味方!整腸作用
αオリゴ糖は、大腸などで腸内細菌によりゆっくり資化(栄養源にして利用すること)され、酢酸、プロピオン酸などの短鎖脂肪酸が増加します。その働きによって、善玉菌優位の環境(善玉菌が住みやすい環境)を作り、腸内環境を整えます。
αオリゴ糖を1日当り3g、3週間摂取すると、便中のビフィズス菌が3倍以上に、排便回数は約1.5倍になることが判明しました。(n=10)
乳酸菌、バクテロイデス菌、酪酸菌の増殖作用・腸内短鎖脂肪酸産生作用
ヒトの腸内で、腸内細菌は食物繊維や難消化性オリゴ糖を分解し、短鎖脂肪酸を産生することが知られています。腸内細菌由来の短鎖内脂肪酸には、酢酸、プロピオン酸、酪酸などがあり、様々な健康増進効果が報告されています。
腸内細菌由来の短鎖脂肪酸の機能
αオリゴ糖は、乳酸菌、“やせ”菌として知られるバクテロイデス菌、酪酸菌に資化され、腸管バリア、生活習慣病、ミネラル吸収、運動パフォーマンス向上などに関わる短鎖脂肪酸産生量を増やします。
マウス(6週齢、雄性C57BL/6J)を通常食(ND)、高脂肪食群(HFD)、高脂肪食+5.5%αオリゴ糖食(αオリゴ糖)群の3群に分け、16週間飼育した結果、HFD群ではND群と比較して、糞便中の善玉菌およびバクテロイデス菌の割合が低下した。一方でαオリゴ糖群はHFD群と比較して糞便中の善玉菌およびバクテロイデス菌の割合の増加とともに悪玉菌の割合の減少が見られました。さらに盲腸内容物中の短鎖脂肪酸量はHFD群と比較してαオリゴ糖群で有意に増加しました。
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