
| 基礎編 | |
| ・ | シクロデキストリン(環状オリゴ糖)ってなに? |
| ・ | シクロデキストリンの働き |
| ・ | αとβとγ、それぞれの特徴 |
| ・ | α、β、γの世界的な安全評価 |
| ・ | α、β、γ、それぞれの大量生産が可能に |
| α-CDには、さらなる効果が… | |
| ・ | 米国で脚光を浴びるダイエット効果 |
| ・ | 日本でもダイエット効果が評判に |
| ・ | アレルギー疾患の改善にもすぐれた効果 |
| ・ | 血糖値上昇抑制効果 |
| ・ | 飽和脂肪酸の選択排泄効果 |
| γ-CDにもこんな効果が… | |
| ・ | コエンザイムQ10の弱点を克服するγ−CD |
| ・ | CoQ10包接体(包接化CoQ10)の様々な効果 |
| 応用編 | |
| ・ | 注目のCD用途分野 |
| ・ | 食品・化粧品分野への応用 |
| ・ | 化粧品分野への応用 |
| ・ | 生活用品用途編 |
| ・ | 医農薬用途編 |
| ・ | 環境用途編 |
| ・ | 化学修飾・化学反応編 |
| ・ | ナノ超分子編 |
| シクロデキストリンを使った商品例 | |
| 寺尾啓二の論文・資料リスト | |
| 寺尾啓二の学会発表論文と招待講演リスト |
CD需要量(約1万トン/2006年)の約半分が家庭用品に利用されているが、その最も使用量の大きいユーザーは米国プロクター&ギャンブル(P&G)である。洗濯乾燥機に使用する芳香シート「バウンス」にはβCDが、そして消臭スプレーの「ファブリーズ」と衣類用柔軟剤「レノア」には水溶性化学修飾CDであるヒドロキシプロピル化βCDやメチル化βCDが使用され、欧米や日本を中心に販売されている。
また、仏国ロレアル社から発売されたシャンプー「エルセーブ」にはβCDが用いられ、使用後の髪に真珠のような輝きが出るとして欧米で人気となり広く使われ始め、最近日本でも販売されている。
[シクロデキストリンを使用した消費者向け製品例]
| 会社名 | 商品名 | 用途 |
| Procter & Gamble | Febreze Bounce Lenor |
消臭芳香剤 洗濯乾燥機用芳香シート 衣料用柔軟剤 |
| Pierre Fabre Demo Cosmetique | Klorane | ドライシャンプー |
| コサナ | Free sol | 抗菌消臭靴中敷 |
| コサナ | ナノラジアンスQ&A | 保湿化粧クリーム |
| ユニチャーム | 超立体 | マスク |
| 東レ | 夢衣夢中 | 美容パック |
| Beierdorf | Nivea Visage Q 10, Eucerin |
化粧クリーム |
| Elizabeth Arden | Lizabeth Arden | 口紅 |
| Loreal | Elseve | 高級シャンプー |
医薬分野でCDを用いる主な目的は、薬理活性物質の水への溶解度改善、安定化、生体利用率改善である。ほとんどの場合、βCDあるいはβCD化学修飾体が使用されている。その理由は、これまでβCDが最も安価で経済的に入手しやすいものであったためである。βCDの難水溶性は医薬製剤化にとって一つの問題点であったが、注射剤にも適用できる数種類の高水溶性βCD化学修飾体が開発され、解決された。
現在、世界的に見ると、CD含有医薬製剤は30製品前後とみられる。その内、錠剤型がほとんであり、注射型は少ない。しかし、最近になってファイザーやヤンセンファーマなどの医薬メーカーは、ヒドロキシプロピル化βCDやスルフォブチル化CDを用いて注射剤を開発し上市した。
また、点眼剤にαCDが使用されたり、薬理活性物質のマスキング(苦味低減)等にもαCDが応用され始めている。
[シクロデキストリンを使用した医薬製剤例]
| 会社名 | 商品名 | CD | 活性物質 | 剤型 |
| Pfizer | Vfend IV | Sulfobutyl-βCD | Voriconazole | 静脈注剤 |
| Pfizer | Geodon | Sulfobutyl-βCD | Ziprasidone | 筋注剤 |
| Janssen | Sporanox | HP-βCD | Itaconazole | 経口、静脈注剤 |
| Novartis | Voltaren | HP-γCD | Diclofenac | 点眼剤 |
| Novartis | Opalmon | γCD | OP-1206 | 錠剤 |
| 小野薬品 | Opalmon | γCD | OP-1206 | 錠剤 |
| 小野薬品 | Prostandin | αCD | PGE1 | 輸液 |
| 小野薬品 | Prostavasin | αCD | PGE1 | 動脈注剤 |
| 小野薬品 | Prostarmon E | βCD | PGE2 | 舌下錠 |
| Scwarz | Edex | αCD | PGE1 | 海綿体注剤 |
| 武田薬品 | Pansporin | αCD | Cefotiam HCL | 錠剤 |
| 明治製菓 | Meiact | βCD | Cephalosparin | 錠剤 |
| UCB | Zyrtec | βCD | Cetrizine | 錠剤 |
食品分野において、日本では2007年にα、β及びγCDの全てが食品添加物として認められた(食品添加物公定書 第8版)。使用目的としては、食品香料、色素、ビタミン類など揮発性物質や、熱や光、酸素に不安定な物質の保護安定化である。
αCDは水溶性で難消化性であることから、食物繊維としてメタボ素材等にも用いられている。昨今、通常の難消化性デキストリンには見られない抗アレルギー効果(ヒト)や、動脈硬化の原因となる悪玉コレステロール(LDL)の元となる飽和脂肪酸を選択的に吸着し排泄(マウス)する効果が確認され、大変注目を集めている。
βCDはコレステロール含有率の高い卵黄やバターなどに添加し、不溶性の包接体を形成させて除去し低コレステロール加工食品の製造に用いられている。
日本では、1970年代後半から既にCDはキャンディー、ガム、スープに使用されてきたが、最近ではさらに製パンやケーキ、粉末食品、菓子類、インスタント茶、インスタントコーヒーなどにも広範囲に利用されるようになってきている。
飲料向けでは、カテキンやイソフラボンなど有効成分の苦味渋味を低減する目的でCDが使用されている。CD含有飲料には花王の「ヘルシア」、伊藤園の「カテキン緑茶」の特保製品(特定保健用食品)の他、ハウスの「ウコンの力」、日本コカ・コーラの「大豆のススメ」などがある。
近年、市場を大きく伸ばしているのが、機能性食品やサプリメントへの応用である。100年に1つの逸材と言われているコエンザイムQ10や、αリポ酸、アスタキサンチンなどといった生理活性物質のCD包接体が市場で注目されている。いずれもγCDによる包接体で、小腸で生理活性物質が放出し吸収された後に、空になったγCDはゆるやかに消化酵素によって消化され、小腸内に吸収される。
[主な機能性食品素材のシクロデキストリン包接体]
| 機能性食品素材 | CDによって改善できる特性 |
| コエンザイムQ10 | 生物学的利用能、安定性 |
| α-リポ酸 | 生物学的利用能、味覚、安定性、溶解度 |
| アスタキサンチン | 生物学的利用能、安定性、分散性 |
| クルクミン | 分散性、安定性 |
| DHA | 酸化安定性、無臭化、粉末化 |