
5-アミノレブリン酸(5-ALA)

5-ALAは、発酵食品に多く含有している天然に存在するアミノ酸です。
5-ALAは、ミトコンドリアでのエネルギー産生を増加させる作用を持つため*1、運動機能改善作用、疲労軽減作用など様々な健康機能が報告されており、サプリメントとして利用されています。
- 運動機能を改善する効果
- 疲労軽減効果
- ミトコンドリアの増加効果
- 運動パフォーマンスの増加効果

*1:Shun-ichiro Ogura et al, BMC Res. Notes, 4, 66 (2011).
原料の詳細情報
5-ALAは、食品に含まれるだけでなく生体内でも生合成されるアミノ酸で、生命活動に重要なヘムを構成する材料です。ヘムは8分子の5-ALAに鉄が配位することによって合成されます。生体ではヘムを原料にして、酸素を運搬するヘモグロビンや筋肉で酸素を貯蔵するミオグロビン、ミトコンドリアでエネルギーを産生する際に必要なシトクロムCなどが作られています。5-ALAを補充することでミトコンドリアを活性化することが報告されており、運動機能改善作用、疲労軽減作用など様々な健康機能が期待されています。
しかしながら、加齢とともに体内での5-ALA産生量は低下することが知られており、サプリメント等で補充することが大切です。
5-ALAの効果についての研究情報
5-ALA摂取による運動機能改善効果
5-ALAは生体のエネルギー産生を助ける作用をもつため、運動機能改善効果が期待できます。運動機能に対する5-ALA摂取の効果についての検証が行われ、2016年に論文発表されています*2。この研究では、試験デザインとして平均年齢65.3歳の女性10名を5-ALA(100mg/日)と鉄を摂取するグループと対照のプラセボを摂取するグループに分けて、7日間摂取させました。摂取する前後に段階的に負荷が強くなるサイクリングテストを実施し、その際の疲労度の指標である乳酸値を検討しました(下図)。その結果、5-ALAと鉄を7日間摂取したヒトでは、サイクリングテスト中の乳酸値は摂取前と比較して有意に低下しました。一方でプラセボではこのような効果は見られませんでした。この結果は、5-ALAと鉄を摂取することで運動機能が改善し、運動効率が上昇したことを示しています。

*2:Shizue Masuki et al, J Appl Physiol, 120, 87-96 (2016)を改変
5-ALA摂取による疲労軽減効果
5-ALAは生体のエネルギー産生を助ける作用をもつため、日々の生活における疲労軽減効果が期待できます。
疲労に対する5-ALA摂取の効果についての検証が行われ、2020年に論文発表されています*3。この研究では、試験デザインとして日常的に疲労を感じている20-60歳の健康な男女70名を5-ALA(30mg/日)と鉄(3.6mg)を摂取するグループと対照のプラセボ(鉄3.6mgを含む)を摂取するグループに分けて、8週間摂取させました。摂取してから0, 4, 8週目に疲労度を示すアンケート(VAS)を実施し、被験者の疲労度を検討しました(下図)。その結果、プラセボを8週間摂取したヒトでは摂取0週目と8週目で(A)全体的な疲労感および(B)仕事による疲労感に変化はありませんでしたが、5-ALAを8週間摂取したヒトでは、摂取0週目と8週目で(A)全体的な疲労感および(B)仕事による疲労感で有意な低下がみられました(下図)。

*3:Fumiko Higashikawa et al, Sci rep, 10, 16004 (2020)を改変
5-ALA摂取によるミトコンドリア量と筋肉量の増加
5-ALAはミトコンドリアにおけるエネルギー産生時の重要物質であるヘムやシトクロムcの材料であるため、運動パフォーマンスの増加が期待できます。
運動時に筋肉はたくさんのエネルギーを消費するため、エネルギーの生産効率を高める必要があります。ミトコンドリアはエネルギーを産生する器官であり、ミトコンドリア量の増加はエネルギー産生効率を増加させ、運動パフォーマンスを増加させます。
5-ALAの摂取はミトコンドリア量を増加させ筋肉量を増加させることが報告されています*4。この研究では、マウスを用いて、16週間、5-ALAと鉄を与え、筋力、筋肉量、筋肉中のミトコンドリア量を検証しています(下図)。その結果、5-ALAを摂取することで、握力増加しました(下図A)。また5-ALAを摂取することで大腿四頭筋やヒラメ筋の筋量及びミトコンドリア量が増加しました(下図B, C)。

*4:Chikako Fujii et al, Sci rep, 7, 4013 (2017)を改変