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コエンザイムQ10包接体

コエンザイムQ10(CoQ10)は、細胞のミトコンドリアに存在する補酵素です。

CoQ10は生体内においてエネルギーの産生に関与する3大ヒトケミカルの一つで、生体内では還元型CoQ10に変換され、強力な抗酸化作用を発揮しています。CoQ10の摂取により様々な健康増進効果が報告されており、健康食品や化粧品としても利用されています*1

CoQ10の健康効果
  • エネルギー産生、AMPKの活性化
  • 持久力の向上効果
  • 抗酸化効果、肌の改善効果
  • γオリゴ糖による吸収性改善
包接体による効果
  • 吸収性改善
  • 安定性向上

*1:寺尾啓二, 健康・化学まめ知識シリーズ9 ミトコンドリアとヒトケミカル, 健康ライブ出版社(2019)

原料の詳細情報

コエンザイムQ10(CoQ10)は生体内に存在する補酵素で、健康維持のために重要な働きを担っています。CoQ10はミトコンドリアの電子伝達系においてATP生産に関わる重要な物質です。さらにCoQ10はエネルギーの生産を促し、細胞を活性化する効果や、強力な抗酸化作用を有することで活性酸素を除去する効果が知られています。しかしながら、生体内で合成されるCoQ10は20歳前後から急激に減少してしまいます。普段の食事のみでは不足したCoQ10を補うことは困難であり、サプリメントで摂取する必要があります。
CoQ10は脂溶性物質のため水溶性が低く、それが体内への吸収性の低さに影響していると考えられています。そこで、CoQ10の水溶性改善や生体内への吸収性向上を目的として、CoQ10-γオリゴ糖が開発されています*2

*2:上梶友記子, 環状オリゴ糖シリーズ5 γオリゴ糖の応用技術集, 健康ライブ出版社(2019)

CoQ10の効果についての研究情報

CoQ10によるAMPKの活性化

CoQ10は生体内でのエネルギー産生に関わるAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化する効果が期待できます。
2019年に発表された論文では、CoQ10による脂肪肝の改善効果に関して検証が行われ、その中でCoQ10がAMPK経路の活性化に作用することが分かりました*3
この研究では肝機能の評価を行うにあたり、肝臓の代替モデルとして利用されるHepG2細胞(ヒト肝癌由来細胞株)が用いられました。そして、脂質合成を誘発させるためにパルミチン酸Naを添加し、AMPKの活性化を評価しました。尚、AMPK活性はAMPKのリン酸化(p-AMPK)を指標として、p-AMPK/AMPK比で評価できます。その結果、パルミチン酸Naの添加によって減少したp-AMPK/AMPK比はCoQ10添加によって上昇することが示されました(下図)。一方、パルミチン酸Na添加とともにAMPK阻害剤(ドルソモルフィン)を加えた状態ではCoQ10を添加してもp-AMPK/AMPK比は上昇しませんでした。
このことから、CoQ10がAMPK活性化因子であることを示していると考えられ、CoQ10を摂取することで、エネルギーを生み出しやすくなることが期待できます

AMPKとは
糖及び脂質の代謝をコントロールし、生体のエネルギー代謝に重要な役割を果たしており、エネルギー代謝をコントロールする重要な因子であることが知られています。

CoQ10添加によるAMPK活性化(*3より改変)
CoQ10添加によるAMPK活性化(*3より改変)

*3:Ke Chen et al., Food Funct., 10, 814-823 (2019)

CoQ10摂取による持久力の向上効果

CoQ10はAMPKの活性化によるエネルギー産生の作用があるため、CoQ10の摂取による運動持久力の向上が期待できます。
さらに経口吸収性を高めたCoQ10-γオリゴ糖を摂取した場合はその効果の向上も期待できます。
日頃から運動をしている健常な20~30代の男女32名の被験者を対象に、無作為に1群16名のグループに分け、それぞれCoQ10(100mg)とCoQ10-γオリゴ糖100mg(CoQ10として20mg)を1ヶ月間摂取してもらい、摂取前後における各被験者の酸素摂取量(VO2@75%HRmax)を持久力の指標として測定しました。
その結果、VO2@75%HRmaxはCoQ10摂取群で0.3%上昇し、さらにCoQ10-γオリゴ糖摂取群ではCoQ10摂取量が5分の1にも関わらず3.75%となり、CoQ10包接体摂取により、効果的な持久力の向上が確認されました(下図)*4

CoQ10摂取によるVO2@75%HRmaxの上昇率(持久力向上率)(*4より改変)
CoQ10摂取によるVO2@75%HRmaxの上昇率
(持久力向上率)
(*4より改変)

*4:寺尾啓二ら, 食品と開発, 47(8), 80 (2012)

CoQ10摂取による肌の改善効果

CoQ10は抗酸化作用があるため、経口吸収性を高めたCoQ10-γオリゴ糖を摂取することで、酸化ダメージを受けた肌の改善効果(シワ、キメ、弾力性)が期待できます。
30~60歳の男女9名ずつの喫煙者(喫煙頻度として10~20本/日)を対象にCoQ10-γオリゴ糖摂取の肌への影響について検討しました。被験食品はCoQ10-γオリゴ糖をCoQ10換算として30mg/日、6週間摂取してもらいました。試験開始前と摂取3週間後および6週間後に、肌の状態、酸化ストレスの指標となる尿中の8-OHdG濃度を測定しました。その結果、CoQ10包接体を継続摂取することによって、シワ個数は摂取前と比べて有意に低値を示し、キメ体積率は摂取前と比べて有意に高値を示すことが確認されました(下表)。シワとキメの変化については、代表的な画像を下図に示しました。また、尿中8-OHdG濃度も有意に減少することが確認されました(下図)*5。これらの結果から、CoQ10の抗酸化作用により、喫煙などによる酸化ダメージを受けた皮膚の肌質が改善することが分かりました。

CoQ10摂取前後における肌のシワ変化

体積
(μm3/mm2/100)
深さ(最大)
(μm)

(/mm)
摂取前 295±138 536±134 0.861±0.135
摂取6週間後 270±137 515±142 0.756±0.138***

***P < 0.001

CoQ10摂取前後における肌のシワ変化

体積
(μm3/mm2/100)
深さ(最大)
(μm)

(/mm)
摂取前 30.3±10.6 47.5±2.9 0.921±0.322
摂取6週間後 35.6±11.0*** 48.3±2.0 1.009±0.319**

**P < 0.01, ***P < 0.001

CoQ10摂取前後におけるシワ(上)とキメ(下)の変化(*5より改変)
CoQ10摂取前後における
シワ(上)とキメ(下)の変化
(*5より改変)
尿中8-OHdG濃度の変化(*5より改変)
尿中8-OHdG濃度の変化
(*5より改変)

(抗酸化マーカーに関しては、
摂取前の8-OHdG値が低い8名を除外し
10名を解析対象とした。)

*5:Yukiko Uekaji et al., Bio-Nanotechnology: A Revolution in Food, Biomedical and Health Sciences. U. K., Wiley & Sons, 179 (2013)

包接体によるCoQ10の吸収性向上

近年、CoQ10を機能性食品素材として含む様々な製品が開発されていますが、CoQ10は非常に水に溶けにくく、摂取した後の吸収性の低さが課題となっています。
γオリゴ糖は水に溶けにくい成分の吸収性を向上させることが知られています*5。CoQ10についてもγオリゴ糖を用いることで、吸収性が顕著に向上することが臨床試験から明らかにされています*6
CoQ10-γオリゴ糖を被験食品、CoQ10-微結晶セルロース混合物を対照食品として単回クロスオーバー試験を行いました。被験者は医薬品を服用していない健常な男女22名を対象としました。被験食品あるいは対照食品をCoQ10量として30mgずつ単回摂食してもらい、摂食前および摂食後1、2、3、4、6、8、24、48時間後に採血を行い、血漿中のCoQ10濃度を測定しました。その結果、CoQ10-微結晶セルロース混合物の場合と比較して、CoQ10-γオリゴ糖の場合でCoQ10の吸収性(Cmax)が有意に上昇すると共に、高い持続性(T1/2)を示すことも確認されました(下図)*6

単回摂取後のCoQ10血中濃度の推移(n=22, mean±S.D.)(*6より改変)
単回摂取後のCoQ10血中濃度の推移
(n = 22, mean ± S.D.)
(*6より改変)

CoQ10摂取前後における肌のシワ変化

Cmax
(ng/mL)
AUC0→48h
(ng・h/mL)
T1/2
(h)
CoQ10包接体 875.5 34811.8 38.0
CoQ10-微結晶セルロース 723.0 31221.8 -
単回摂取後のCoQ10血中濃度(変化量)の推移(n = 22, mean ± S.D.)(*6より改変)
単回摂取後のCoQ10血中濃度(変化量)の推移
(n = 22, mean ± S.D.)
(*6より改変)

*5:Yukiko Uekaji et al., Bio-Nanotechnology: A Revolution in Food, Biomedical and Health Sciences. U. K., Wiley & Sons, 179 (2013)

*6:Keiji Terao et al., Nutr. Res., 26(10), 503 (2006)

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